| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨 ESJ65 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-248 (Poster presentation)
近年、全国各地の湖沼において浮葉植物であるヒシ属植物の群落面積が増加し、その対策が課題となっている。対策の計画立案や効果検証のためには、ヒシ属植物の分布変化や季節的変動のモニタリングが必要となる。本研究では、福井県の三方湖に生育するヒシTrapa japonicaを対象として、無人飛行機(UAV: Unmanned Aerial Vehicle、通称ドローン)による分布推定手法を開発した。まず、UAVによる撮影高度を決定するため、1辺1 cmおよび 2 cm、4 cmの各格子を組み合わせたイラストを対地高度20~50 mで撮影し目視判読した。その結果、検討した対地高度の最小高度である20 mの時に、1cm格子(ヒシの個葉を模したもの)を組み合わせた6cmの方形領域(ロゼットを模したもの)を正確に判別することができた。そこで、2016年9月11日に研究対象地を高度20 mから撮影した。気象条件は曇り時々晴れで、微風はあったが湖面のさざ波はほとんど見られなかった。撮影した241枚の写真をもとに、Photoscanを用いてオルソモザイク画像(ピクセルサイズ:0.9 cm)を作成した。この画像をもとに、400地点(学習データ200地点、検証データ200地点)のヒシの在・不在およびRGB値のデータセットを作成した。ヒシの在・不在は、オルソモザイク画像上での目視判読によりデータを生成した。これらのデータを用いた一般化線形モデルによる統計解析の結果、G値(緑色の輝度)を説明変数としたとき、検証データにおいて一致率91.5 %およびAUC値0.97ともっとも高い推定精度を示した。以上の結果から、湖面のヒシのロゼットの分布推定のために、UAVを用いた本手法の有効性が示された。