| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨 ESJ65 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P3-134 (Poster presentation)
都市化による種多様性減少は送粉ネットワークのジェネラリスト化を促進するのか?
世界的に平野部において都市の拡大により農業生態系およびその生物多様性が減少していることが報告されている。健全な農業生態系において送粉ネットワークは多様な種から成りたっている。一般的に多様な種によって構成される送粉ネットワークでは種間相互作用はスペシャリスト化することが知られている。一方で、少数の種からなるネットワークは構成種がジェネラリスト化し、送粉機能が減少しうるといわれている。都市化による植物や送粉者の種多様性の減少は送粉ネットワークのジェネラリスト化を促進し、送粉機能を低下させることが予測されるが、本予測の検証は少ない。
この発表では、この予測を検証するために阪神地区の15カ所の調査地において水田畦畔上の半自然草地を対象に、虫媒植物への訪花者(送粉者)群集を調査し、送粉ネットワークの解析および植物の送粉成功の調査を行った。これまでの研究結果(清水ほか2017)から、都市化の指標となる周囲人工地増加が多い調査水田では、植物・送粉者ともに種数が減少することが明らかになっている。この植物と送粉者のデータセットを用いて幾つかのネットワークパラメーター(connectance, interaction evenness, niche overlap, weighted NODF等)を算出し、都市化とジェネラリスト化に有意な関係がみられるのか解析した。解析ではヌルモデルを用いてサンプリング効果を補正したネットワークパラメーターを算出した。また、植物群集内の優占種(10種程度)を対象に都市化やそれに伴うネットワークのジェネラリスト化によって送粉成功が影響を受けているのか解析し、植物群集の送粉機能が受ける影響について考察する。