| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨 ESJ65 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P3-167 (Poster presentation)
水環境中の生態調査や生物多様性の評価において、環境DNAを使用した技術は、近年目覚ましい発展を遂げている。特に、魚類DNAを検出するプライマー(MiFish)や哺乳類DNAを検出するプライマー(MiMammal)が報告されて以来、その技術は急速に広がった。しかしながら、生物多様性の評価や生態調査を行う上で、これらプライマーだけでは正確な調査や評価をすることができない。そこで、私たちはミトコンドリアDNAの16S rRNA上に6つの生物群(鳥類、カメ類、ヘビ類、カエル類、有尾類、昆虫を含む節足動物)由来DNAを特異的に増幅するプライマー(gBird、gTurtle、gSnake、gFrog、gSalamander、gInsect)とゲノムDNAの18S rRNA上に二枚貝由来DNAを特異的に増幅するプライマーgClamをそれぞれ設計した。
これらプライマーの特異性を確認するため、さまざまな地域で採水を行い、次世代シーケンサーMiSeqを用いて解析を行った。その結果、gSalamanderやgInsect、gClamは、対象生物由来のDNAを特異的に増幅することができた。一方で、gBirdは鳥由来DNAが多く存在する条件では優先的にそれを増幅するが、鳥由来DNAの存在割合が少ない条件では、細菌由来の配列を増幅することが明らかになった。また、gTurtle、gSnake、gFrogについては、季節や地理的な問題からサンプルが集まらず、十分な検証できなかった。
本発表では、これらの結果に加え、採水現場で環境DNAを分析する技術を踏まえながら、環境DNAの新たな展開について議論したい。