| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


一般講演(ポスター発表) P3-175  (Poster presentation)

プレート移動に基づく島嶼からの植物の再移入が本土における種多様化に与える影響

*阿部晴恵(新潟大・農), 渡辺洋一(千葉大・園芸), 長谷川雅美(東邦大・理)

 島嶼では本土(本州)と比較すると、アイランド・シンドロームと言われる構成種や繁殖様式、行動様式、形態などの違いがみられる(Abe 2006他)。しかしながら、隔離程度が高く固有種が多い小笠原諸島などと比較すると、本州に隣接する島では、進化の途上にある変異は見られるものの、その特異性に関する網羅的、定量的なデータが少なく、その要因となる進化学的研究は多くない。さらに、今年指定から80年を迎える富士箱根伊豆国立公園に注目すると、南部フォッサマグナ域(富士箱根および伊豆半島)は、プロト伊豆島がプレート移動により付加することで成立した地域であり、かつての島で分化した種と本州から進出してきた種が混合して形成されたと考えられるため、種多様化のソースとしての島の役割を検証することが出来る興味深い立地である。上記の背景を元に、本研究では、本州と共通に生育し、分散能力の異なるヒサカキ、ヤブツバキ、ハコネコメツツジの3種を対象に遺伝的構造の比較を行った。その結果、広域分布種のヒサカキおよびヤブツバキは、本州と伊豆諸島間での遺伝子流動が起こっており、本仮説を支持する遺伝的構造が示されなかった。しかしながら、ハコネコメツツジでは仮説を支持する可能性が示された。


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