| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨 ESJ65 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P3-186 (Poster presentation)
積水化学グループでは「SEKISUI環境サステナブルビジョン2030」の基、“生物多様性が保全された地球”を実現するため様々な活動を行っているが、それらの活動の1つに「自然環境の保全」がある。各事業所では“地域生態系と調和”が取れ、“生態系サービスが最大限に発揮”できる“質の高い緑地づくり”に取り組んでいる。本報告では京都市にある事業所内にビオトープをつくり、地域の生態系への貢献について検討した。
まず事業所地域の環境及び生きものの生息状況を調査した。事業所は市街地に存在し、周辺には小規模な公園が点在のみで緑地は少ない。生きもの調査では、地域全体で23種の鳥類と57種の昆虫類が確認された。一方事業所内では鳥類は5種と非常に少なく、昆虫類の種数は周辺地域と変わらなかったが、チョウ類は少なかった。
そのような現状を踏まえ、ビオトープづくりを行った。まずビオトープをつくるに当たって、社員が参加し事業所全体の緑地づくりのコンセプトを行った。その結果、『京(みやこ)の“みどり”そだてるつながる研究所』というコンセプトを決定した。このコンセプトには、“みどり”を育てることにより、“生きもの”、“人”、“文化”、“地域”がつながり、京都らしい自然環境を保全していきたいという思いが込められている。本コンセプトに従い、さらに事業所内に点在する緑地のエリア毎のコンセプトを作成した。その中の1つが「京の草地ビオトープ」である。本ビオトープは約150m2の草地で主にノシバ、チガヤ、藤袴で構成されている。ビオトープ設置後に生きもの調査を行い、ビオトープ設置前後で比較したところ、バッタ類は8種増え10種が、チョウ類は4種増え11種が確認された。これらのことから小さいながらも事業所内にビオトープを創出することにより、周辺地域との生きものの“つながり”ができることが確認された。今後はエリアごとのコンセプトに従い、継続して創出する予定である。