| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


一般講演(ポスター発表) P3-188  (Poster presentation)

MappEnvを用いた生物種分布マップ作成イベント

*根本航, 土屋大樹, 雨宮雄一, 上原歩(東京電機大学・理工)

 生態学研究におけるボトルネックの一つは、網羅的、継続的活動のためのリソースとマンパワーの確保である。シリアスゲームという方法論の導入によるCommunity-based samplingの促進はこの問題の解決につながると考えられる。シリアスゲームとは、エンターテインメント性のみを目的とせず、社会問題の解決を主目的とするコンピュータゲームのジャンルである。我々はシリアスゲームの考え方を応用し、生物の画像と位置情報を収集するためのスマートフォン上で動作するアプリケーションMappEnvを開発した。
 MappEnvでは、まず、スマートフォンのカメラ機能を用いて興味対象の生物を撮影する。次に、GPSを用いて取得した位置情報をメタデータとして画像データに付加する。最後に、撮影した画像を、付加された位置情報とともにWebサーバに送信することで、生物情報の収集を行う。収集活動を促進するため、シリアスゲームの仕組みを導入しユーザ同士の競争を促す。MappEnvのユーザは、専門家のみならず、専門知識を持たない一般の方々を想定している。収集した情報の質を保証するため、互いのデータを評価し合う仕組みや専門家との連携を促す予定である。ユーザの行動に積極的に働きかけることで、これまでより多くの生物情報が収集できる。
 本発表は、MappEnvについて報告するのみならず、今春に開催予定のMappEnvを用いた植物の分布把握イベントの協力者を募ることを目的としている。特定外来生物には指定されていないものの、生態系へ悪影響を及ぼす外来植物とされるナガミヒナゲシの分布把握に取り組む。イベントの開催概要、その後の論文化計画についても議論したいと考えている。


日本生態学会