| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


一般講演(ポスター発表) P3-231  (Poster presentation)

福島県の避難指示区域解除過程における飛翔性昆虫群集

*吉岡明良, 三島啓雄, 熊田那央, 深澤圭太(国立環境研究所)

2011年の東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所の事故により、福島県の一部の地域では今なお避難指示区域が設定されている。避難指示区域内では耕作停止等の人間活動の変化が生態系に影響をもたらしていると考えられる。一方で、避難指示区域は最近大幅に解除されており、それに伴って稲作等の再開も広がる可能性がある。そのような過渡期にあたって、筆者らは避難指示区域内の身近な自然や生態系サービスの変化の評価・予測に資するためにハチ・ハエ類等の益虫・害虫を含む飛翔性昆虫のモニタリング調査を実施している。2014年のマレーズトラップによる調査によって、ハナバチ類等の送粉昆虫の一部に避難指示区域内外で個体数の差が見られたことを踏まえて、2015年以降は送粉昆虫を効率よく採集するために、衝突板トラップとマレーズトラップを併用した調査を行ってきた。調査では、避難指示区域内外の小中学校(休廃校含む)57地点において、毎年5月中旬から2ヶ月程度衝突板トラップを設置、その内16地点にはマレーズトラップも設置した。サンプルにはハナバチ類やチョウ類、ハナムグリ類が多く含まれていた。本発表ではそれらの送粉昆虫等の主要な分類群に注目して複数年における避難指示区内外での動態を概観し、避難指示区域における変化について考察する。


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