| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨 ESJ65 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P3-232 (Poster presentation)
林冠の空間情報の取得がUAVにより大きく発展しているのに比べ、林床植生の調査は、区画法による種組成の調査が今でも主流である。これまで、林床のオルソモザイク画像とDSMを取得することは困難であったが、UAVで用いられるカメラスタビライザーを使った撮影技術とSfMによる処理を応用すれば簡便な方法で取得できると考えた。さらにUAVと組み合わせて林床のオルソモザイク画像とDSMが同時に取得できれば、林床の植被率や実生分布などの空間情報の面的な取得、林床DSMによる林床地形の面的な取得、林冠DSMと林床DSMからのCHMの算出が可能になる。このことにより、林冠と林床を合わせた高空間解像度と高時間解像度の空間情報による分析が可能となり、森林のモニタリングやモデリングが大きく発展することが期待される。そこで本研究では、マングローブ林を事例とし、林床のオルソモザイク画像とDSMを取得する簡便な方法を提案し、林床DSMとCHMの精度検証およびオルソモザイク画像の判読により得られる植生情報(高木の密度、稚樹の密度、膝根の密度)の例示により、新しい森林調査方法としての有用性を検証することを目的とした。林冠はUAVで静止画、林床はカメラスタビライザーに取り付けたカメラで動画を撮影し、SfMで処理しオルソモザイク画像とDSMを取得した。林床のオルソモザイク画像から高木の密度、稚樹の密度、膝根の密度を取得することができた。林床地形(林床DSM)は地形をよく反映していた。CHMは実測値と平均2.22mの差があったが、森林情報として実用性があるものであった。本研究で提案した林床のオルソモザイク画像とDSMを作成する簡便な方法は、これまでになかった画期的な林床情報を提取得できマングローブ林などの森林をモニタリングを発展させることが期待される。