| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨 ESJ65 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P3-241 (Poster presentation)
魚類をはじめ、多くの生物の消化管には様々な細菌が共生している。それらの細菌は宿主と相利共生の関係にあるものが多い。宿主は細菌の住処と食餌を提供し、細菌は宿主の物質代謝、物質生産、免疫力の亢進、消化管環境の整備などに関して役割を果たしている。この消化管共生細菌の組成は宿主の腸管構造や発達段階、食餌に起因する生理状態に対応し変化すると考えられており、しばしば宿主の生存・生育に大きな影響を与えることが知られる。これまでの細菌叢や食性の調査は網羅的に解析することが困難であった。しかし、次世代シーケンサーを用いることにより、網羅的かつ簡潔な解析が可能になった。そこで我々はメタゲノム解析を、日本における国外由来の代表的な淡水魚であるオオクチバス Micropterus salmoidesとブルーギルLepomis macrochirusの消化管共生細菌と食性の関連性の調査に応用した。琵琶湖の周囲環境の異なる2地点でこの2種を3個体ずつ採集し、解剖して胃内容物からDNAを抽出した。胃に共生する細菌と食餌及び共生微生物となっている真核生物の網羅的探索のために、16S rRNAと18S rRNAの配列を、それぞれユニバーサルプライマーを用いて増幅した。さらにMiniSeqによるシーケンシング後、Qiime2でメタゲノム解析を行った。その結果について種間の差、地域差、及び食性による差などを中心に議論したい。