| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


一般講演(ポスター発表) P3-249  (Poster presentation)

谷戸環境における涵養林の林相変化と湿地植生への影響

*竹内大悟, 平塚基志(早稲田大学)

谷戸環境では多くの場合、降雨とその湧水によって湿潤環境が維持されている。涵養源となっている森林の荒廃は、森林の蒸散量や蒸発量を変化させ、湿地の湧水量に影響を与えると考えられ、湿地生態系もまた、これらの変化の影響を受けていると推察される。
湿地生態系の保全や植生回復のための管理方法としては、復田を伴う人為的な土壌撹乱の手法等が報告されているが、それにかかる労力は決して小さくない。より広範囲な湿地生態系の回復には、谷戸環境における湿性遷移の要因を明らかにし、より効果的に湿地植生を回復できる手法を明確にしていく必要がある。そこで本研究では、植生回復の要因として水位変動に着目し、これらに影響すると思われる涵養林の変化について分析した。また水位の変動と植生との関係についても調査し、涵養林の変化と植生の関連性について議論した。
調査は早稲田大学所沢キャンパス内の放棄水田由来の湿地帯(3ha)で行った。水源はすべて降雨による直接流入と湧水である。航空写真から土地被覆の属性を明らかにし、10年毎の土地利用の変化について分析した。また解析ソフト「もりったい」を使用し、過去の平均樹高の変化について分析し蒸散量の変化について検討した。またライントランセクト法による植生調査を行い、静電容量式水位計による地表下30cmまでの水位変動を計測した。これらから、林相変化と水位変動および植生変化への関連性について検討した。


日本生態学会