| 要旨トップ | ESJ65 企画集会 一覧 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


企画集会 T11  3月15日 17:30-19:30 H会場

シカ個体数管理の評価のための植生指標の探索

飯島勇人(森林総研),梶光一(東京農工大)

シカによる生態系への影響の中でも植生への影響は古くから研究されており、またシカ管理を開始する動機であると思われる。しかし、現在のシカ管理において植生の状態が管理目標となっていることはほとんどなく、シカの個体数に重点が置かれている。それは、シカによる植生への影響度を決定する要因や、その背景となる生態的過程に関する研究が十分でないことによると主催者は考えている。近年、シカ管理を行っている地域の一部ではシカが減少に転じた箇所がでてきているが、シカ密度と植生の関係を扱った国内研究の多くはシカが増加している地域で行われている。すなわち、現状ではシカ密度に対する植生応答は一定であり、シカをある密度まで減少させればそれまでの履歴に関係なく同じような植生の状態となることを仮定していることになる。海外では、シカによる影響を受けた期間や強度によってはシカ密度を減少させても植生が回復しない事例が多数報告されていることから、日本においてもシカ減少時の植生応答に関する知見を集積し、その背景となる生態的過程を明らかにする必要がある。そこで本集会では、これらの状況下での植生応答とその要因に関して議論を行い、植生への影響度に基づいたシカ管理目標のあり方を参加者と探りたい。

[演題]
シカによる影響の生態的指標を見る重要性 梶光一(東京農工大)
知床国立公園におけるエゾシカ個体数調整後の植生回復過程 石川幸男(弘前大)・渡辺修((株)さっぽろ自然調査館)
シカ減少期における林床植生の応答 稲富佳洋・宇野裕之(道総研環境科学研究センター)
シカ減少期における下層植生衰退度と稚樹食害率の応答 藤木大介・高木俊(兵庫県立大)

[T11-1] シカによる影響の生態的指標を見る重要性 梶光一(東京農工大学)

[T11-2] 知床国立公園におけるエゾシカ個体数調整後の植生回復過程 石川幸男(弘前大学)

[T11-3] シカ減少期における林床植生の応答 稲富佳洋(道総研環境科学研究センター)

[T11-4] シカ減少期における下層植生衰退度と稚樹食害率の応答 藤木大介(兵庫県立大学)


日本生態学会