| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


自由集会 W17-3  (Workshop)

群飛して交尾するトウヨウモンカゲロウ
Mate and flock in a mayfly species

*宮竹貴久, 菅太一, 須崎俊介, 松村健太郎, 田邊眞太郎(岡山大学)
*Takahisa Miyatake, Taichi Suge, Shunsuke Suzaki, Kentarou Matsumura, Shintarou Tanabe(Okayama University)

カゲロウの仲間はオスが交尾時に群飛を形成してメスと交尾することが知られており、日本の河川に多く生息するモンカゲロウも群飛行動が観察されている。旭川(岡山県)中流域の河畔には近縁種であるトウヨウモンカゲロウが生息するが、その交尾生態については調べられていなかった。そこで本研究では、2016年と2018年の春季にトウヨウモンカゲロウの交尾行動を観察した。群飛は日没のおよそ1時間前に川原の上空に形成された。群飛集団を形成するのは雄であった。日没前になると雌が川辺の草むらから飛翔して群飛に参加した。群飛している雄は、この雌を求めて互いに競い合うように空中で上下運動を繰り返した。やがて雄が雌の下に位置し、前脚で雌の胸部を抱き上げるようにして交尾が行われた。一定空間あたりに群飛する雄の概数を目視で計測した結果、群飛する雄の概数は少ない日には10個体以下であったが、多い日には100個体以上の雄が飛翔していた。群飛が始まる時刻や群飛する雄の数は日によって大きなばらつきが観察された。限られた日の逢魔が時に数多くの雄が夕焼け空一面に飛び立ち、メスとの交尾を求めて群飛すれど、その多くが交尾に至らず死にゆく姿は、演者らの胸にぐっとくるものがあったのである。


日本生態学会