| 要旨トップ | 本企画の概要 | | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨 ESJ66 Abstract |
自由集会 W20-2 (Workshop)
データの保存と活用について、近年は、公的なwebデータベース、学会によるデータペーパーが充実してきた。これらの利用によって、従来は個人の手元で眠っていたデータの保存をより確実なものにし、さらに検索性や利用可能性を高めることができる。生態学分野でのデータ論文数は未だ多くはないが急速に増えている。Web of ScienceでEcolog*をトピックにもつデータ論文を検索すると2018年には59件であるが前年の1.7倍にもなる。特に、観測拠点で過去に得られた古いデータや、過去の研究プロジェクトのデータが管理者の退職や異動とともに消えたり散逸してしまわないためにも、このプロセスを促進する必要がある。
講演ではこうした過去の情報を生かしたデータベースの例としてまず、GBIFやOBISの例を簡単に紹介する。次に、東日本大震災の影響評価と復興への科学的貢献を目的とした、東北マリンサイエンス拠点形成事業のデータベースの現状と課題を紹介する。特に、本課題の中からEcological Researchを含めてデータペーパーとして貢献した、海底生物の画像からの自動抽出結果と、沿岸付近の小流域を含む流域のGISモデルとの2点の論文を例として、データ論文の書き方を例示する。特に、書き方のポイントや、その応用方法(深層学習の適用やGIS上での活用など)について議論する。最後に、一体どういうデータに価値を見出せるのか、あるいはどのような形で保存すべきなのかといった私見も含めてとりあげ、議論の一助としたい。