| 要旨トップ | ESJ66 自由集会 一覧 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


自由集会 W20  3月16日 18:45-20:15 Room B

長期連続生態系観測データのレスキュー 〜データ論文化に向けて
Rescue of long-term continuous ecological data: towards data publication

永井信(国立研究法人海洋研究開発機構・地球環境観測研究開発センター), 柴田英昭(北海道大学北方生物圏フィールド研究センター)
Shin Nagai(Research and Development Center for Global Change, Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology), Hideaki Shibata(Field Science Center for Northern Biosphere, Hokkaido University)

大学研究林、演習林、臨海実験所などでは、学生実習やモニタリング業務の一環として生態系観測データが長期連続的に取得され、環境動態を知り得る貴重な記録を保存している。観測の大部分を人手に委ねるそれらのデータは、昨今のリモートセンシング技術やIT技術の目覚ましい発展をもってしても、生涯色褪せることのない真値情報としての価値が非常に高い。しかしながら、これらのデータは、単独利用としての学術的新規性の乏しさ、標準化されたアーカイブシステムの不十分さ、技官や教員の大量定年離職などを理由として、世間の目に晒されることなく、いつの間にか消滅してしまう危機に瀕している。膨大な量力とコストを投資して取得した貴重なデータであっても、ある一定の品質を保証した公開を行わなければ、その価値を後世に伝承することはできず、ただのゴミと化してしまう。この危機を救う手立てのひとつとして、データ論文が考えられる。当学会をはじめ様々なデータ論文誌が存在し、日々膨大なデータがアーカイブ、公開されている。けれども、データ論文誌において、積極的にレスキューすべき基礎的な生態系観測データが効果的かつ柔軟的に公開されているであろうか?「どのような生態系観測データを早急にレスキューすべきか?それを具体的に進める最善策は何か?データ量が少なく基礎的な生態系観測データであっても、データ論文としての一定品質の保持は可能か?」など、本集会では、長期連続的な生態系観測データの現状、データ論文化に向けた問題点、将来展望に関して、長期生態系観測ネットワーク関係者、データ論文編集者、データ論文執筆者、読者(データ利用者)の観点から問題提議と討論を行う。本集会の成果を踏まえ、Ecological Researchのデータ論文特集号の出版(真のデータレスキュー)を目指す。

[W20-1]
長期生態学研究ネットワークからみたデータレスキューの重要性 柴田英昭(北大・北方生物圏セ)
Importance of the data rescue in a perspective of long-term ecological research network Hideaki Shibata(FSCNB, Hokkaido Univ.)

[W20-2]
データ論文執筆者の立場から:東北マリンプロジェクトの遺産をどう遺すか 山北剛久(JAMSTEC)
From the author's viewpoint: How to leave the legacy of Tohoku Marine Project Takehisa Yamakita(JAMSTEC)


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