| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


自由集会 W28-1  (Workshop)

種内・種間相互作用から群集ダイナミクスを考える
From within- and between-species interactions to community dynamics

*山尾僚(弘前大学)
*Akira Yamawo(Hirosaki Univ.)

種間競争は、生物種のニッチや分布、延いては群集構造を説明する中心概念とされ、植物の群集動態などの予測にも用いられてきた。一方、種内競争は、主に個体群動態や生活史の進化などを理解する際に着目されてきた。このように、種間競争と種内競争はそれぞれ乖離的に研究が進められてきた傾向にある。しかし、実際には多くの植物は、同種他個体や複数の他種と混生しており、植物群集の動態は、種間競争と種内競争の相互作用の中で決定されていると考えられる。
 我々はこれまでに、オオバコを用いた実験から個体群内の遺伝構造、特に近接個体の遺伝的類似性が種間競争に影響を及ぼしうることを報告した。本講演では、(1)個体群内の遺伝構造の違いはどのように種内競争の結果を変えるのか?(2)種内競争は、種間競争にどのように影響するのか?(3)種間競争は、個体群内の遺伝構造にどのような変化をもたらしうるのか?について、オオバコを含む複数の植物種を用いて検証した研究を紹介する。最後に、それらの実験結果から浮かびあがる植物群集の動態について考察し、植物の群集動態の理解において種内・種間相互作用を包括的に扱うことの有効性について考えてみたい。


日本生態学会