| 要旨トップ | 本企画の概要 | | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨 ESJ67 Abstract |
シンポジウム S07-3 (Presentation in Symposium)
SFTSウイルスは多くの哺乳動物に感染している。一方、マダニがSFTSウイルスを保有しているとはいえ、そのウイルス保有率は高くない。また、野外ではウイルス保有動物から感受性動物への直接的なウイルス伝播も起こっていると考えている。ヒトへのSFTSウイルス感染リスクとしては、最終的にはウイルス保有マダニの吸血によるが、地域のリスクを考える上ではウイルス保有動物の密度の把握が重要になると考えている。我々は、野生動物の抗体保有率やウイルス保有率を明らかにすることにより、自然界におけるSFTSウイルスの拡散に重要な役割を担う動物の探索する必要があると考えている。
これまで明らかになっていることを以下に挙げる。
1.シカのSFTSウイルス抗体保有率はヒトへの感染リスクを明らかにできる。
2.アライグマのSFTSウイルス抗体保有率によりヒトへの感染リスクを警告できる。
3.流行地域の健常アライグマの2.3%がウイルスを保有している。
4.野生動物間でSFTSウイルス抗体保有率に違いがある。マダニの指向性、動物よりウイルスの感受性・病原性が異なると考えている。
5.渡り鳥には多くのマダニが咬着しており、SFTSウイルスの拡散の可能性がある。
野生動物とマダニの関係を明らかにすることにより、SFTSウイルスのみならず多くのマダニ媒介感染症のリスク分析に貢献することが期待される。