| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


シンポジウム S09-5  (Presentation in Symposium)

科学情報を踏まえた生物多様性政策の推進
Science based Biodiversity Policy and implementation

*中澤圭一(環境省)
*Keiichi NAKAZAWA(Ministry of the Environment)

科学情報を踏まえた生物多様性政策の推進

【背景・目的】
愛知目標に次ぐ、生物多様性の次期世界目標となる「ポスト2020生物多様性枠組(以下、「ポスト枠組」という。)」の検討が、2020年10月に中国・昆明で開催される予定の生物多様性条約COP15での採択を目指して進んでいる。
環境省では、新しい世界目標となる「ポスト枠組」を受けて、現在の生物多様性国家戦略である「生物多様性国家戦略2012-2020」を見直すことにしており、本格的な検討に先立つ事前の論点整理等のための専門家による研究会を設置して議論を進めている。
この検討プロセスに対して科学的な情報を提供するものとして、「生物多様性及び生態系サービスの総合評価」を進めており、本稿では特に後者の状況について概説する。

【JBO】
「生物多様性及び生態系サービスの総合評価」、通称JBO(Japan Biodiversity Outlook)は日本国内を対象とした、生物多様性と生態系サービスを対象にした総合評価であり、環境省ではこれまでに2010年と2016年に実施・公表している。
環境省では、この第3回目となるJBO3の検討を2018年度より開始しており、この目的は以下の3項目である。
(JBO3 の目的・方向性)
・現行の生物多様性国家戦略による成果の評価についての検討
・生物多様性及び生態系サービスの現状評価及び将来予測の情報を踏まえ、次期国家戦略の要素の検討に資する提案
・次期国家戦略の達成状況を評価する際に用いる指標のベースラインデータの整備

【科学情報を踏まえた生物多様性政策】
 生物多様性政策は、自然科学に加えて、社会科学や人文科学も含めた複層的な科学的情報を背景とするものである。将来的に、大きく社会構造が変化しようとする中、また、IPBESが指摘するような社会変革(transformative change)が生物多様性に必要とされる中での、生物多様性施策と科学的な情報の関係について議論を深めたい。


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