| 要旨トップ | 本企画の概要 | | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨 ESJ67 Abstract |
シンポジウム S15-1 (Presentation in Symposium)
対象の3次元的な形態情報を得るための技術・ツールの一般化が進んでいる.例えば,X線CTによる3次元ボリュームデータ,LiDARやStructured lightを利用した3次元表面データ,深度カメラによる2.5Dデータ,あるいは2次元画像の集合から3次元表面を再構築するStructure from Motion(SfM)及びMulti-view stereo(MVS)など様々な選択肢がある.しかし,こうして得られた3次元データそれ自身を表現型として解析することは通常難しい.何らかの情報抽出プロセスを経て生物学的に意味のある情報を引き出さなければならない.
本研究では,器官レベルの解像度を持つ植物体の3次元データを野外で取得し,そこから葉に関連した表現型データ(葉面積,葉角度など)を推定するパイプラインの開発をおこなった.特に本講演では,ダイズの初期生育のモニタリングをおこなった例を紹介したい.まず,ダイズコアコレクションから3品種を対象に,デジタルカメラを用いて撮影をおこなった.SfM及びMVSを活用し,1プロットあたり40枚前後の画像から3次元再構築をおこなう.オーバーラップが少ない場合,生育段階にもよるが個葉レベルでの識別が可能な精度の高い点群データを得ることができた.次に,得られた点群に対して,背景除去,器官の領域分割をおこなう.背景-前景のラベル付けと画像解析と機械学習的アプローチによる半自動での識別,分割を活用した.最終的に,各器官に対して形質値を推定する.例えば,各葉の面積や角度を非破壊的・経時的に計測でき,これらの時空間的なパタンをモニタリングできることがわかった.