コンピュータビジョン（CV）は、画像を解析して情報を取り出し、シーンの認識・理解を目指す分野である。植物科学分野においても、葉の画像から疾病を検出するなど、CV技術の応用は現在までに数多く報告されている。特に、植物フェノタイピングにおいては画像からの草姿草型などの抽出が重要であり、その実現にはCV技術が鍵を握る。一方、近年は深層学習の活用によりCV分野の研究が特に活発に行われているにもかかわらず、画像からの植物表現型の自動取得は未だに困難な課題である。
　画像ベースの植物フェノタイピングの難しさには、細い・薄い形状、同じ色・模様の繰り返しを含む植物の特性が深く関わっており、植物は、CV分野においても非常に挑戦的かつ興味深い、最先端の研究対象である。本発表では、特にCV技術と植物に関連する話題を通して、植物フェノタイピング技術の今後の展望を考察する。