| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


シンポジウム S21-4  (Presentation in Symposium)

やっかいなお隣さんが多様性を生み出す?
Does the noisy neighbor create diversity?

*松林圭(九州大学)
*Kei MATSUBAYASHI(Kyushu University)

近縁種が出会うとき、そこには様々な葛藤と競合が生まれる。その結果として現れるのは主に融合か反発かの2択だと考えられてきた。この反発にあたるフェーズ、つまり形質置換(Character displacement)および隔離の強化(reinforcement)は、進化生態学において長らく興味の対象となってきたが、それほど多くの実例が報告されてきたわけではなく、いわば教科書には載っているという程度の意味合いのものであった。近年、生物が異なる環境へ適応することで生殖隔離が進化する生態的種分化に代表されるように、種分化とその関連分野で様々な概念的整理が行われた結果として、形質置換が副産物として種分化を生み出すケースや、これまで見過ごされてきた隔離強化のケースがあることが徐々にわかってきた。ここでは近年の隔離強化に関する考え方の変遷を説明したうえで、発表者が行ってきた複数の昆虫における種分化研究のデータから実例を紹介する。


日本生態学会