| 要旨トップ | ESJ67 シンポジウム 一覧 | | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨 ESJ67 Abstract |
シンポジウム S21 3月6日 9:30-12:30 Room H
近縁種同士は地理的に異なる生息域に分布する傾向にあり、これは種分化後の分布拡大と二次的接触の歴史を反映している。一方、生殖隔離が不完全な近縁種が互いに接する地域では交雑が観察されることも多く、そのような地域を交雑帯と呼ぶ。交雑帯は、個体群動態・環境適応・同類交配といった多くの要素から構成されるため、古くから“自然の実験室(natural laboratories)”として着目されてきた。出会った近縁種が遺伝子流動に直面したのち、分化したそれぞれのグループとして維持されるのか、あるいは一つの集団に融合してしまうのか、多くの事例が研究されてきた。また、雑種形成に至らない場合であっても、繁殖干渉による棲み分けや形質置換といった種間相互作用によってもたらされる現象も交雑帯を舞台としている。近年では、ゲノミクスの活用により、交雑を起源とする種分化研究が展開されるなど、交雑帯における進化・生態学的帰結は非常に多岐にわたる。本シンポジウムでは、交雑が生態現象にどのようなインパクトを与えるか、最前線の研究事例を紹介する。さらに、個別の事例を積み上げるにとどまらず、系統が分岐してからの時間に応じて二次的接触時の帰結はどのように変化していくのかという統合的な視点からの問いを設ける。講演者の他に数名のコメンテータに招き、総合討論の時間を設けて、交雑帯の理解と一般化について野心的に議論したい。
[S21-1]
種間相互作用による地理的分断プロセスの理論と実証
Biotic interactions can cause allopatry and subsequent speciation: theoretical and empirical approaches
[S21-2]
共通点と相違点を併せ持つ近縁種間の必然的な交雑の非対称性
Inevitable asymmetry of hybridization between related species sharing similarities and differences
[S21-3]
繁殖干渉による近縁種間の競争排除:沖縄島におけるカダヤシ科外来魚のケース
Competitive exclusion between related species by reproductive interference:A case of invasive Poecillidae in Okinawa
[S21-4]
やっかいなお隣さんが多様性を生み出す?
Does the noisy neighbor create diversity?
[S21-5]
隔離強化で生じるβ多様性とニッチ幅の多様性
Reinforcement of reproductive isolation increases beta-diversity and niche breadth-diversity