| 要旨トップ | 本企画の概要 | | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨 ESJ67 Abstract |
自由集会 W13-1 (Workshop)
市民参加型調査は、成功すればデータ収集に非常に効果的である一方、成功しない事例も数多くある。それは、市民参加型調査の形には多様性があり、成功させるためには、それぞれの特徴を踏まえて進めていかなくてはいけないためだと考えている。今回の発表では、市民参加型調査の特徴として、参加者と調査方法の負担と調査対象に注目しながら、私が行っている市民参加型調査「花まるマルハナバチ国勢調査」が成功した要因について、説明していきたい。
花まるマルハナバチ国勢調査は、東北大学と山形大学の研究者が中心となって立ち上げた、市民参加型調査である。ウェブページやSNS、チラシなどで、マルハナバチの写真を撮影し、撮影場所の住所とともに写真をメールで送ってもらえるよう、市民に呼びかけている。そのため、この市民参加型調査は、参加者が不特定多数の市民で、調査方法の負担は小さい。また、調査対象はマルハナバチ類で、日本で生息している種は、外来種も含めて16種である。ただ、送られてくる写真は、ミツバチ類やクマバチ類、ハキリバチ類など、多くの一般的なハナバチ類が含まれている。
発表では、参加者が不特定多数であること、市民の調査方法の負担が小さいことでの有利・不利な点について、説明する。また、調査対象が特定の生物群(ハナバチ類)であることでの有利・不利な点についても、説明する。私は、この市民参加型調査が成功したのは、調査対象がハナバチ類であったのが大きいと考えている。
また、花まるマルハナバチ国勢調査では、それぞれの不利な点の解決方法がいくつか見つかったため、それら解決方法についても説明する。最後に、継続しやすく、調査の成果が利用しやすい市民参加型調査の1つの形について、私の意見を述べたい。