| 要旨トップ | ESJ67 自由集会 一覧 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


自由集会 W13  3月4日 18:45-20:15 Room J

市民科学のデザイン:市民参加型調査の多様性と経営論
Citizen science design: diversity of citizen environmental monitoring, and management theory

大野ゆかり(東北大学), 森井悠太(京都大学)
Yukari OHNO(Tohoku Univ.), Yuta MORII(Kyoto Univ.)

限られた研究費・労働力・調査時間の中で研究を行う科学者にとって、市民参加型調査は非常に魅力的な調査方法である。しかし、研究者以外の人も相手にする市民科学のプロジェクトに一般的な方法論はなく、下手をすると市民をも巻き込んだ大きな失敗に繋がりかねない。市民参加型の研究プロジェクトを成功させるには、市民科学の特徴を知り、事前に適切な計画をデザインする必要がある。
海外における市民参加型調査の特徴を分析した研究によると、様々な市民参加型調査を主に、1.参加者が特定少数か/不特定多数か、2.参加者に求める調査方法の負担が大きいか/小さいか、の2つの軸で類別できるとされている。本集会ではさらに、3.調査対象の生物種が特定少数か/不特定多数か、というもう1つの軸を加え、様々なデザインの市民科学について紹介する。東北大学の大野ゆかりが、不特定多数の参加者によって、簡便な調査方法を用いた、特定の生物群(ハナバチ類)を調査対象とする市民参加型調査について講演する。京都大学の森井悠太が、たった1人の市民が多大な労力を払うことによってもたらされた、外来種・マダラコウラナメクジの調査データを基にした研究について講演する。さらに、バイオーム(株)の藤木庄五郎博士には、不特定多数の参加者によって、簡便な調査方法で、不特定多数の生物種を調査対象とする市民参加型調査について、講演していただく。最後に、東京大学の一方井祐子博士には、生態学に限らない様々な分野での市民参加型調査を俯瞰しつつ、市民科学の持ちうる可能性を語っていただく予定である。
本集会を開くことで、これまでの成功例を通して市民科学の全体像を把握し、市民参加型調査を成功に導くための一般的な方法論を模索したい。市民参加型調査の理想や、市民科学のもたらす未来についても、夢のある議論を期待したい。

[W13-1]
花まるマルハナバチ国勢調査が成功した要因 *大野ゆかり(東北大学)
Factors for the success of Hanamaru-Maruhana national census *Yukari OHNO(Tohoku Univ.)

[W13-2]
巨大外来ナメクジ vs 市井の超人たち *森井悠太(京都大学), 大久保祐作(北海道大学), 渡辺早苗(札幌市在住)
Invasive giant slugs vs wonder citizens *Yuta MORII(Kyoto Univ.), Yusaku OHKUBO(Hokkaido Univ.), Sanae WATANABE(Sapporo City)

[W13-3]
生物多様性保全に向けた市民科学の実践~いきものアプリ「Biome」を用いて~ *藤木庄五郎(株式会社バイオーム)
Citizen science practices for biodiversity conservation - Using smartphone application "Biome" - *Shogoro FUJIKI(Biome Inc.)

[W13-4]
シチズンサイエンスの可能性と課題 *一方井祐子(東京大学), 小野英理(京都大学), 榎戸輝揚(京都大学)
The challenges and prospects of citizen science in Japan *Yuko IKKATAI(The University of Tokyo), Eiri ONO(Kyoto Univ.), Teruaki ENOTO(Kyoto Univ.)


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