| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨
ESJ68 Abstract


シンポジウム S02-1  (Presentation in Symposium)

メタン吸収能を考慮したアジア域の森林における土壌炭素動態の統括的観測
Comprehensive Field Study on Asian Forest Soil Carbon Dynamics

*梁乃申(国立環境研究所), 寺本宗正(鳥取大学), 高木健太郎(北海道大学), 近藤俊明(国際農研), 小嵐淳(原子力機構), 安藤麻里子(原子力機構), 平野高司(北海道大学), 高橋善幸(国立環境研究所), 高木正博(宮崎大学), 石田祐宣(弘前大学), 荒巻能史(国立環境研究所), ZHANGYiping(西双版納熱帯植物園), LAIDerrick(香港中文大学), CHIANGPo-Neng(台湾大学), 曾継業(国立環境研究所), PIAOShilong(北京大学), LIShenggong(地理科学資源研究所), 趙昕(国立環境研究所), 市井和仁(千葉大学), 山貫緋称(千葉大学), AZIANMohti(マレーシア森林研究所)
*Naishen LIANG(NIES), Munemasa TERAMOTO(Tottori Univ.), Kentaro TAKAGI(Hokkaido Univ.), Toshiaki KONDO(JIRCAS), Jun KOARASHI(JAEA), Mariko ATARASHI-ANDOH(JAEA), Takashi HIRANO(Hokkaido Univ.), Yoshiyuki TAKAHASHI(NIES), Masahiro TAKAGI(Univ. of Miyazaki), Sachinobu ISHIDA(Hirosaki Univ.), Takafumi ARAMAKI(NIES), Yiping ZHANG(XTBG), Derrick Y.F. LAI(CUHK), Po-Neng CHIANG(Taiwan Univ.), Jiye ZENG(NIES), Shilong PIAO(Peking Univ.), Shenggong LI(IGSNRR), Xin ZHAO(NIES), Kazuhito ICHII(Chiba Univ.), Hina YAMANUKI(Chiba Univ.), Mohti AZIAN(FRIM)

欧米に比べ、有機炭素が豊富な日本を含むアジアモンスーン地域の森林土壌は、微生物呼吸の温暖化に対する長期的なCO2排出量増進の応答が大きいことに加え、温暖化に伴う土壌の乾燥化でCH4吸収能が上昇する可能性も、土壌の劣化でCH4吸収能が低下する可能性も秘めている。しかし、CH4を含めた土壌炭素動態の気候変動応答に関わる観測データの欠如は、将来予測の大きな不確実性の一因となっている。そこで本研究では、森林における土壌炭素動態への気候変動影響メカニズムの解明に加え、世界的に前例のない、アジア域を網羅する森林土壌におけるCH4吸収能に関する多地点連続観測、広域推定及び将来予測を行うために、国立環境研究所が開発した世界最大規模のチャンバー観測ネットワークを活用する。北海道からマレーシアまでの広域トランゼクトに沿って選定した代表的な森林生態系を対象に、(1)CH4フラックスの連続観測を十数カ所で展開し、世界的に貴重な森林土壌のCH4フラックスに関する長期連続観測データを得る;(2)温暖化操作実験を世界的な観測の空白域である熱帯林を含めて十数カ所で展開し、温暖化に対する土壌炭素貯留量の変動に関する新たなデータを構築する;(3)CH4/ CO2フラックスに寄与する土壌微生物特性および土壌呼吸中放射性炭素(14C)を分析し、土壌炭素動態の長期的な温暖化応答メカニズムを解明する;(4)土壌呼吸の観測をより長期化し、短期的な気候変動や極端気象、土地利用変化、森林施業などの影響を定量的に検出する;(5)得られた観測データに基づき、機械学習や経験モデル等の複数のアプローチを検証しながら活用し、アジア域における超高解像な土壌CH4/ CO2フラックスの広域推定と将来予測を行う。


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