| 要旨トップ | 本企画の概要 | | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨 ESJ68 Abstract |
シンポジウム S02-6 (Presentation in Symposium)
森林生態系における土壌有機炭素の微生物分解(微生物呼吸)は、地球上の炭素循環を駆動する主要なプロセスである。温暖化によって微生物呼吸が増大することで、大気中の二酸化炭素濃度が増加し、温暖化の進行がさらに加速するという悪循環が懸念されている。そのため、様々な地域における微生物呼吸量を正しく把握し、それらを規定する要因を明らかにすることが、今後の温暖化影響を定量的に評価・予測するために必要不可欠である。したがって、我々の究極の目標は、様々な地域や土壌に適用できる普遍的な微生物呼吸モデルを新たに構築することである。そこで、アジアモンスーン域の多様な森林生態系を網羅するチャンバー観測ネットワークサイトにおいて、土壌有機炭素の蓄積量、蓄積形態、放射性炭素(14C)同位体比を指標とした代謝回転のタイムスケールなどの土壌有機炭素特性を分析評価した。それらの土壌有機炭素特性と、微生物呼吸量やその温暖化応答との関連性を解析し、サイト間の違いを説明できる特性の抽出を試みた。本発表では、14C同位体比が微生物呼吸を推定する上でのキーパラメーターとなりうるかという点に特に着眼したい。