| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨
ESJ68 Abstract


シンポジウム S16-1  (Presentation in Symposium)

「社会・生態システムの統合化による自然資本・生態系サービスの予測評価」の概要
Overview of Predicting and Assessing Natural Capital and Ecosystem Services.

*齊藤修(国際連合大学)
*Osamu SAITO(NUN)

本プロジェクトは、環境省環境研究総合推進費の戦略研究プロジェクト(S-15)として2016年度から2020年度にかけて4つのテーマ、計15のサブテーマで実施された。S-15は、我が国を中心に、人口動態の変化や土地利用変化等による自然資本や生態系サービスの自然的・社会経済的価値の将来予測・評価が可能となるような社会・生態システムの統合化モデルを構築した。陸域から海域の自然資本・生態系サービスの自然的・社会経済的価値の2050年までの予測評価を行い、シナリオ分析に基づき複数の政策オプションとその効果を定量的・空間的に明らかにした。陸域と海域の主な供給・調整・文化的生態系サービスの自然的価値と社会経済的価値の予測評価を行うとともに、栄養塩や指標生物を用い、陸域と海域の相互作用も明らかにした。各種生態系サービス間のトレードオフとシナジーに関しても実証的な研究成果を得た。包括的な福利を維持・向上させる自然資本の重層的ガバナンスのあるべき姿と経路について事例研究を通じて提示した。全国的なシナリオ分析と同時に、北海道厚岸、佐渡島、能登半島、沖縄を事例研究サイトとして、より精密な空間精度でのシナリオ分析を各地域のステークホルダーと連携して行った。さらに、研究成果をバングラディッシュ、フィリピンなどのアジア地域での自然資本と生態系サービスのアセスメントや将来シナリオ分析に提供して海外展開を行うとともに、生物多様性及び生態系サービスに関する科学-政策政府間プラットフォーム(IPBES)とも連携して、国際レベル、国レベル、地域レベルの各レベルでの科学-政策インターフェースの強化を推進した。研究成果は学術論文として発表するだけでなく、ポリシーブリーフや政策決定者向けサマリーとして日英で発表されたほか、現在進行中の「生物多様性及び生態系サービスの総合評価 2020」(JBO-3)の重要なコンテンツとして反映されている。


日本生態学会