| 要旨トップ | ESJ68 自由集会 一覧 | | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨 ESJ68 Abstract |
自由集会 W12 3月20日 17:00-18:30 Room D
純一次生産や物質循環といった生態系機能は究極的には生物進化の産物であり、生態学的プロセスの解明には進化的プロセスの理解が欠かせない。環境の不均一性や種の歴史的背景(系統・地史)は、形質(表現型)変異を促し、翻って形質は生態系機能に影響を与えると考えられる。遺伝子-形質-生態系機能のリンクを実証するためには、歴史変遷、遺伝・生態情報に関する研究が精力的に進められているモデル生物を使うのが有効である。
日本の国土の64%は森林で覆われているが、スギの天然林・人工林はその森林面積のうち17%を占めており、日本の森林生態系の主要な構成種の一つといえる。また、スギは東北地方から九州地方まで幅広く分布し、広い環境傾度に適応して分布している。さらに、スギは切り枝を使った挿し木が容易であり、クローン個体の作成が比較的容易である。これらの特徴から、スギは一連の生態学研究を行えるモデル生物としてのポテンシャルを秘めている。
そこで、本自由集会では、1)スギの系統地理や局所適応、2)スギの系統間の成長の違いにかかわる生理生態的メカニズム、そして3)スギの遺伝的変異が森林の生態系機能へ与える影響について、現状の知見を横断的に俯瞰し、モデル生物としてのスギに今後期待できることや課題を認識することで、生理生態学研究のスケーリングついて展望する。
[W12-1]
産地試験地を用いたスギの機能形質の遺伝解析
Association genetics of ecological functional traits in Cryptomeria japonica.
[W12-2]
スギの系統による森林生産の違いとその要因分析
Mechanisms underlying the genetic differences in forest productivity in Cryptomeria japonica plantations
[W12-3]
植生がカルシウム動態を介して、河川・土壌無脊椎動物に与える影響
Effects of vegetation types on stream and soil invertebrates through alteration of calcium dynamics