| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨 ESJ69 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-469 (Poster presentation)
全国で放棄竹林が拡大している。放棄竹林は、景観の悪化や森林植生の変化、保水力の低下による土砂災害の増加などの様々な問題を引き起こす一方で、竹林や里山管理に携わる団体は、活動メンバーの高齢化や人手・資金不足など様々な課題に直面している可能性がある。そこで本研究は、全国で竹林管理に取り組む団体にアンケート調査を行い、持続的な活動を行う上でのボトルネックを明らかにするとともに、それらの課題解決策(工夫)を収集、整理することを目的とした。調査対象団体は、まず内閣府ホームページの認証NPO法人の一覧から「竹、里山、自然、森林、地域づくり」をキーワードに検索し、109団体を抽出した。同様にインターネットでキーワード検索を行い、上述のNPO団体に、企業や大学研究室内の活動団体なども加えた、全国44都道府県(秋田、鳥取、愛媛、沖縄を除く)の計162団体を対象に、郵送でアンケート調査を実施した。アンケートでは、各団体の活動に必要な「担い手(人手)」や「活動資金」が足りているかなど団体が抱える課題と、課題に対する工夫を尋ねた。その結果、有効回答数は79団体であった。このうち人手が不足していると回答した団体は47、資金が不足している団体は43、ともに不足している団体は31であった。また各団体の活動に必要な担い手、および活動資金が足りているかどうかをそれぞれ目的変数とし、説明変数に団体の活動状況や地域特性(市町村の状況)を用いる決定木分析を実施した。その結果、「担い手の不足」に影響する要因として、まず活動資金が足りている団体かどうかで分けられ、活動資金が不足する団体の78%が、担い手が不足と回答していた。また「活動資金の不足」に影響する要因では、まず自治体の人口密度の違いで分けられ、人口密度が低い自治体に所在する団体の76%が資金不足と回答した。講演では、これらの詳細および各団体の工夫事例を示す。