| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨
ESJ69 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-089  (Poster presentation)

ゴマでカボチャの受粉を促進ー花の混植による送粉機能促進効果ー
Sesame flowers facilitate pollination of squash-Effect of companion planting on pollination function-

*平岩将良, 前田太郎(農研機構 農環研)
*Masayoshi HIRAIWA, Taro MAEDA(NARO NIAES)

近年、送粉者が減少し、農作物に安定的に送粉者を供給できる技術が求められている。その手法の一つとして作物の周囲に送粉者を誘引する花(送粉強化植物)を混植し、作物への訪花を促進する技術が挙げられる。しかし、混植による送粉者誘引効果は文献によって一貫せず、送粉強化植物は条件によっては送粉者を奪う競争者となってしまう可能性がある。そこで本研究では、作物の周囲に送粉強化植物を混植し、どのような条件のときに作物への訪花を促進するのか実験を行った。今回はモデルケースとしてカボチャ(作物)の側にゴマ・バジル(送粉強化植物)を混植し、①混植によってカボチャへの訪花頻度は増加するのか、②訪花頻度増加効果は送粉強化植物の花数や送粉者密度によって変化するのか、③訪花頻度の変化は送粉効率に反映されるかについて検証を行った。
その結果、マルハナバチ・ミツバチのカボチャへの訪花頻度は、送粉者の自種密度が低いときに、送粉強化植物が多いほど増加した。一方で、自種密度が高いときは、送粉強化植物が多いほどカボチャへの訪花個体数は減少した。また送粉者が低密度のとき、混植処理によってカボチャの柱頭付着花粉数も増加し、訪花頻度の結果と一致した。以上のことから送粉強化植物の効果は送粉者密度に依存して正から負に変化し、特に送粉者の誘引が必要となる送粉者密度が低いときに有用であることがわかった。


日本生態学会