| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨 ESJ69 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-098 (Poster presentation)
外来種は生態系の中で大きな問題となっている.特に病害虫のような寄生者は,マツ材線虫病や新興感染症のように在来生物に深刻な影響を与える場合がある.他方で共進化によりホスト特異性が進化しているため,在来生物を利用できる外来寄生者は少ないとも考えられ,外来寄生者は種数が少ないが,寄生に成功した場合は個体数が多い可能性がある.この研究ではキク科およびマメ科の植物と昆虫で構成される系において,外来生物と在来生物のホスト特異性を評価するため,在来植物と外来植物で利用する在来昆虫種数に違いがあるのか,外来昆虫と在来昆虫で利用する在来植物種数に違いがあるのか,種あたり個体数において違いがあるか,などを検討する. ホスト特異性の強さは摂食(潜葉性を含む)や吸汁を行う昆虫と、吸蜜を行う昆虫で異なることも想定されるため,昆虫の植物利用方法ごとに解析を行った.
野外調査では横浜市の埋立地などの新興緑地と里山緑地を中心に、ルートセンサスによりマメ科とキク科の植物を探索し,それを利用する昆虫を記録した.
予備的な解析では、在来植物と外来植物を利用する摂食昆虫個体数では差が見られなかったが,吸汁昆虫では外来植物を利用する個体数が少なく、吸蜜昆虫ではむしろ外来植物を利用する個体数が多くなる傾向であった.