| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨
ESJ69 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-246  (Poster presentation)

アクアポニックスの効率的な運用に関する理論的考察
The consideration for the optimal operation  of the aquaponics

*岩田繁英(東京海洋大学)
*Shigehide IWATA(TUMSAT(kaiyodai))

今後の人口増加に対応した安定的な食料の供給が求められている。水産物で考えると世界的な海面漁業による生産量は1990年ごろから飽和している一方,養殖による生産量が増加している。また,水産物生産において海面漁業のような自然からの収穫では資源の取りすぎという問題は含有するものの環境改変に至るまでの高い漁獲量に対して悪影響を環境に与えないが,不安定な収穫が短所となる。一方で,養殖生産は比較的安定している長所はあるものの,栄養塩集積により環境負荷を高めることにつながることが短所になる。養殖生産において環境負荷を低減する方法はこれまでにも研究されてきた。解決策の一つとして提案されたのがAquaponicsである。AquaponicsはAquaculture(水産養殖)とHydroponics(水耕栽培)のそれぞれの文字をとって作られた造語である。Aquaponicsでは,Aquacultureから流出する廃液に含まれる栄養塩をHydroponicsで活用することで高濃度の栄養塩集積を軽減することを期待している。
 Aquaponicsシステムでは,収量の最大化,栄養塩集積の軽減の2つの目的がある。本研究ではAquaponicsシステムを数理モデルで構築しその収量の最大化,栄養塩低減を達成するための条件を計算する。モデルは,魚および植物に関するバイオマス動態を表現する部分と水溶液を介した物質循環(養殖システムからはアンモニアが排出されて植物が利用可能な硝酸塩に分解される過程を表現した)を表現する部分に分けてモデル化した。このシステム自体は以前報告したモデルと同様であるが栄養塩の濃度に関しては水の運用で対応することもできる。本発表では栄養塩集積が高濃度になった場合に水を添加することで適正な濃度を保つ状況を検討した,効率的な水の運用に関して検討した結果を報告する。


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