| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨
ESJ69 Abstract


シンポジウム S06-3  (Presentation in Symposium)

褐藻類の生殖様式について
Reproduction of brown algae

*星野雅和(Max Planck Institute)
*Masakazu HOSHINO(Max Planck Institute)

生活史に関する知識は,その生物を理解するうえで基本的かつ必須の知識であるが,それを得るのは必ずしも容易ではない。褐藻類の多くは野外での確認が難しい微小世代を持つため,生活史の解明には培養研究を要する場合が多い。しかし,培養下で世代交代・有性生殖を観察するには,日長・光強度・水温などを適切なタイミングで切り替える必要があり,なかなかに難しい。褐藻類には有性生殖が観察できない種や集団の報告が多いが,それらが有性生殖せず無性的に繁殖するのか,培養条件が不適なために有性生殖が観察できなかっただけなのか,解釈に困ることもしばしばである。そのためか,褐藻類の生活史に関する知識は断片的で,同一種内で複数の集団の生活史を比較した研究となると数少ない。
 本講演では,同一種の集団間に見られる生殖様式の多様性―有性生殖か無性生殖か―に焦点を当てて,講演者の研究を交えつつ,褐藻類における有性生殖集団と無性生殖集団の地理的分布パターンや系統関係,無性生殖集団の起源について概説したい。


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