| 要旨トップ | ESJ69 シンポジウム 一覧 | | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨 ESJ69 Abstract |
シンポジウム S06 3月17日 13:00-16:00 Room B, 現地開催/ライブ配信あり/見逃し配信対応
真核生物の有性生殖は、ゲノムセット数を半減させる減数分裂と、ゲノムセット数を倍加させる接合により特徴づけられる。通常、生物の進化生態過程を考える場合、ゲノムセット数が倍加した状態(diploid)の細胞が多細胞化して生涯のほとんどを占める生活環を想定し、ゲノムセット数が半減した状態(haploid)は精子や卵といった生殖細胞としてのみ認識される。しかしながら、藻類ではhaploidとdiploid両方の細胞が多細胞化することで、配偶体と胞子体という二種類の独立した世代が現れ、それらが世代交代する。
本シンポジウムでは、この藻類で見られる不可思議な繁殖システムにスポットライトを当てる。特に、配偶体と胞子体の世代交代や無性生殖といった複雑な繁殖システムが個体群動態や進化にどのような影響を及ぼし、それをいかに理解すれば良いのかという問題について、藻類学の最前線で活躍される研究者らの取り組みを通して知って頂きたい。
具体的には、埼玉医科大学の別所が藻類の進化生態を記述する数理モデルについて、Max Plank Instituteの星野が褐藻類の生殖様式について、千葉大学の堀之内が海産緑藻で見られる生活環の多様性とその進化について話す。さらに、本集会では生態学会外から3名の研究者をお招きし、東京海洋大学の新井嵩博氏に褐藻類で観察される胞子体の優占現象について、北海道大学の市原健介氏に緑藻類で見られる生殖とそれに関連するゲノミクスについて、東京海洋大学の神谷充伸氏に紅藻類で見られる生活環と繁殖戦略についてそれぞれお話して頂く。
[S06-1]
大型藻類の個体群動態と進化についての理論的研究
Theoretical study of population dynamics and evolution of macroalgae
[S06-2]
同形世代交代型褐藻アミジグサにみられる成熟胞子体の優占現象
Mature sporophyte dominance of isomorphic brown alga Dictyota dichotoma
[S06-3]
褐藻類の生殖様式について
Reproduction of brown algae
[S06-4]
種内多型からみた海産緑藻の多様な生活環の進化
The evolution of diverse life cycles in marine green algae viewed from intraspecific variation
[S06-5]
ゲノム情報とゲノム編集で解き明かすスジアオノリの有性生殖と無性生殖
Mechanism of sexual and asexual reproduction in Ulva prolifera would be uncovered by genome information and genome editing
[S06-6]
紅藻の生活環と繁殖戦略について
Life cycle and reproductive strategy of red algae