| 要旨トップ | 本企画の概要 | | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨 ESJ69 Abstract |
シンポジウム S15-5 (Presentation in Symposium)
新規環境へ生物が適応していく過程について、世代内で起こる可塑的変化から長期的ゲノム進化までの変遷過程全体を通して観察することは一般的に困難である。トゲウオ科のイトヨは、祖先型の海型イトヨが現存していること、津波などによって数年前に淡水進出した集団、過去の氷河サイクルによって異なる時期(1万年前〜30万年前)に淡水進出した集団などが存在することから、この過程の全貌解明に最適である。海水域と淡水域は、様々な物理・生態環境に大きな違いがあるため、それぞれの環境へ適応するためには、浸透圧調整能、餌への適応、捕食圧への適応、異なる病原体への適応など、複数の形質の適応的分化が必要である。本課題では、トゲウオにおける淡水進出の際に生じる遺伝子発現の進化に関する最新知見を報告する。