| 要旨トップ | 本企画の概要 | | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨 ESJ69 Abstract |
シンポジウム S26-3 (Presentation in Symposium)
人と自然の共生社会を実現する上で、生物多様性・生態系サービス・生態系の健全さの評価・モニタリングは重要な役割を担う。そのためには、生物の分布情報などの膨大な基礎データの収集が欠かせないが、広域の生物分布調査には多くの人員・費用・時間を必要とし、実践には困難が伴う。そこで私たちは、世界中に広く普及するモバイル端末に着目し、これを調査観測拠点とする生物多様性の広域モニタリング手法の開発を目指してきた。
私たちの開発した「いきものコレクションアプリBiome」は、画像認識による種名判定AIを搭載しており、これまでに約7万人の市民ユーザから、約3.2万種の生物の約225万件の発見情報を収集することができた。生物の発見場所や日時と環境要因の関係性を解析することで、ハビタットの推定や動態予測などが可能となり、企業の自然関連の情報開示の実現や、グリーンインフラをはじめとする自然資本の利活用、30 by 30の目標達成といった様々な社会ニーズに応えられるポテンシャルがある。
本発表では、Biomeアプリの活用事例として、産学連携事業「グリーンインフラDXプロジェクト」を紹介するとともに、これまでに収集したデータの特徴や解析結果を示し、生物多様性の保全が主流化していく社会において必要な産官学連携の在り方を議論したい。