| 要旨トップ | 本企画の概要 | | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨 ESJ69 Abstract |
自由集会 W10-3 (Workshop)
小さな節足動物であるトビムシは、土壌食物網の下位栄養段階に位置し、多くの捕食者の餌資源として機能している。土壌食物網は、概して枯死物分解を担う腐食連鎖網として定義されてきたものの、0.1mmから2mmの小さい動物が不透明な土壌中で何を食べているか知ることは未だに簡単ではない。つまり、土壌食物網が依存している炭素源が果たして枯死物なのかどうかということにさえ、不明確な点が残っているといえる。本発表では、トビムシの食性に関するこれまでの様々な研究を紹介し、現状の見解について整理する。特に、炭素安定同位体トレーサーや放射性炭素同位体を利用した研究から明らかになってきた生根由来の炭素の重要性について紹介し、トビムシを起点とする食物連鎖の枯死物への依存の程度について議論したい。