| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨
ESJ70 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-04  (Poster presentation)

武尊山におけるニホンジカライトセンサス調査による個体数変化【A】
Population dynamics of sika deer Cervus nippon monitored by spotlight-census in Hotaka【A】

*碇屋実佑, 田中花菜, 井上巧基(群馬県立尾瀬高等学校)
*Miyu IKARIYA, Hana TANAKA, Kouki INOUE(Oze High School)

群馬県の尾瀬国立公園ではニホンジカ(以下シカとする)による植生への影響が問題となっている.尾瀬国立公園に隣接する武尊山は,ブナ林をはじめとした希少な自然環境を有する場所である.しかし,この武尊山でもシカによる影響が予想されるが,シカの生息状況に関する詳細な調査は行われていない.尾瀬高校周辺でもシカは確認されており,過去に行った調査から,武尊山周辺の耕作放棄地やスキー場跡地を餌場として利用していることが示唆された.私たちは2021年の6月から2022年の10月にかけて武尊山周辺の3か所のスキー場と2か所の湿原(玉原湿原,田代湿原)においてライトセンサス調査やセンサーカメラによる生息状況の調査を行った.また,湿原においてはドローンによる空撮を行い,シカによる影響を調べた.
ライトセンサス調査の結果,どのスキー場においても年間を通してシカの生息が確認された.また,季節によって発見個体数が大きく変化した.3か所のスキー場で発見個体数が最大となる時期は共通しなかったが,秋にかけて雄の発見個体数が増加した.湿原のセンサーカメラから,8月を過ぎると湿原への出現頻度が低下する結果が得られた.また,目視や空撮により湿原を調べたところ,特定の植物が食害にあっていることや、シカによるものとみられる獣道が林縁付近において多く見られることが分かった.


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