| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨 ESJ70 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PH-29 (Poster presentation)
目的:多くのSaccharomyces cerevisiaeは、ビオチンの生合成遺伝子を持ってはいないが、清酒酵母や焼酎酵母など日本の酵母のみが生合成遺伝子を保有していることが分かっている。また、ビオチン生合成遺伝子を破壊した酵母で清酒を仕込んだ結果、香りが悪くなる知見が得られている。本研究では、このビオチン生合成遺伝子を、清酒酵母や焼酎酵母だけでなく日本の自然界にいる酵母も保有しているのか検証するとともに、取得した酵母で食品を生産し香りの変化を検証することを目的とした。
実験方法:外から採取した植物をグルコースの濃度を上げたYM培地で培養後、生えてきた微生物群を白金耳で摂取し、YM平板培地で画線培養し単離した。取得した微生物は、液体培地で1日培養後、YM平板培地とビタミンフリー培地に摂取し、3日間培養して、ビオチン生合成を確認した。ビオチン生合成能を持つ微生物の菌体を顕微鏡で酵母であることを確認した。
実験結果:学校校内のつつじ(花)からは、21株の微生物が取得でき、そのうちビオチン生合成能があるものは1株、ないものは16株とわかった。花壇のつつじ(花)からは、28株の微生物が取得でき、そのうちビオチン生合成能があるものは26株、ないものは1株とわかった。学校校内のあざみ(花)からは、18株の微生物が取得でき、そのうちビオチン生合成能があるものは1株、ないものは11株とわかった。
花壇のムラサキツメクサ(花)からは、20株の微生物が取得でき、20株すべてのものにビオチン生合成能があることがわかった。以上の結果から、すべての株にビオチン生合成遺伝子があるわけではないことが判明した。また、取得先の花の種類によって生合成能を有無が大きく作用することが判明した。今後、顕微鏡にて酵母であると確認できたものの種を同定し、その中からS. cerevisiaeを使用して、食品の味の変化を確認していく。