| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨 ESJ70 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PH-53 (Poster presentation)
ヒクギセル(Stereophaedusa gouldi) はキセルガイ科のカタツムリであり、関東地方から東海地方にかけて分布している。
本種には地域個体群ごとで多型が見られ、基本的な形態とされる個体群(以下ヒク型)に対し、殻が細長い個体群(以下ホンダ型)はホンダギセルという別種として扱われていた。しかし近年の系統解析の結果から、これらヒク型とホンダ型については分類学的検討が必要であることが示唆された。
そこで本研究では、異なる形態の個体群間には機械的生殖隔離が生じていると仮説を立てた。第一に個体群ごとの形態の違いが遺伝的に決まっていることの確認を目的に観察、飼育実験を行うことにした。
研究に扱う個体群の採集を2022年7月から同年12月にかけて3地点で計4回行い、1地点ごとに異なる地域個体群(うち1つがヒク型2つがホンダ型)が得られた。また、他の3つの地域個体群(うち2つがヒク型で1つがホンダ型)を提供いただき、これらを合わせた計6地点6つの地域個体群を扱った。
実験では個体群ごとの解剖による生殖器の比較と、個体群それぞれから得られた子の飼育観察を通して、形態の変異が遺伝的に決まっていることの確認を試みた。