| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨 ESJ70 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PH-61 (Poster presentation)
自宅近くの佐鳴湖周辺で魚採りをするたびに、カダヤシは簡単に捕獲できるのに、メダカはほとんど見られないことに気がついた。特定外来生物であるカダヤシを駆除することで在来種メダカを救いたいという思いが強くなり、国外外来種カダヤシのみを効率よく捕獲する装置の開発を目指した。そのために、2種の視覚や嗅覚といった刺激への反応や種間相互作用に着目することで、ミナミメダカには忌避効果があり、一方でカダヤシには誘引効果のある刺激の解明を目的とする。本研究では、魚類2種の視覚や嗅覚といった刺激への反応や種間相互作用に着目した光誘引実験、視覚実験、嗅覚実験の3つを行った。まず、深さ3.0cmまで水を入れた水槽(42cm×33cm×24cm)を用意した。2種の魚類のいずれかを水槽内に10個体入れた。次に、水槽の下に得点表(0点・3点・6点・9点)を設置した。水槽にカダヤシまたはミナミメダカを入れてから落ち着くまで放置して、5分経過後から10分間にわたって、1分間隔で10個体の得点表上の位置から得点を記録し、10分間の合計得点を算出した。その後、5色の光源、同種・他種個体の視覚刺激や匂い物質に対する誘引効果を検証した。視覚と嗅覚に着目した2つの実験から、現時点で考えられるカダヤシ捕獲装置を提案したい。カダヤシ捕獲装置のなかに、穴があいた透明な容器またはミナミメダカやカダヤシが出入りできない網目の容器内にできるだけ多くのミナミメダカを閉じ込める。容器内のミナミメダカが、カダヤシの視覚と嗅覚を刺激することで、カダヤシを強く誘引する囮として用いることができる可能性が示された。しかし、このままではミナミメダカも強く誘引されてしまうという問題がある。今後、ミナミメダカに忌避効果のある感覚刺激を見つけ出すことで、カダヤシのみを捕獲する装置の開発を目指したい。