| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨 ESJ70 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PH-66 (Poster presentation)
交替性転向反応とは、連続する分岐点があるとき、高い確率で左右交互に曲がるという動物の習性である。これには、BALM仮説や、天敵対策といったいろいろな仮説が立てられている。主に無脊椎動物に見られる習性で、特にダンゴムシやワラジムシはその特徴が顕著である。直交するT字路で交替性転向反応を検証した研究は多いが,自然界では直交する状況ばかりではない。私たちは,オカダンゴムシArmadillidium vulgareについて,何度か左右交互に直角に進路を変えさせたのち,最後のT字路の角度を90度より大きくした場合の行動について検証することにした。
学校の敷地内で捕まえたオカダンゴムシ個体を用い,発泡スチロール板を切断し,木工用ボンドで固定したものを組み合わせて迷路を進ませた。発泡スチロールで道幅1.5㎝、距離5.0㎝、高さ2.0㎝の迷路を作成し,3つ目の曲がり角の大きさを90度から130度まで10度刻みで設定した。5個体の ダンゴムシをそれぞれ1つの迷路で10回ずつ歩かせてどちらの方向に進んだかを観察した。
角度が大きくなるにつれ交替性転向反応がキャンセルされる頻度が増加した。交替性転向反応で左→右→左と曲がる場合,角度がついた場合はもと居た場所から離れられない可能性が高くなる。同じところをぐるぐる回らないように交替制転向反応があるとすると,「大きく曲がる場合は交替性転向反応をキャンセルしたほうが適応的である」という仮説が成り立つと考えた。