| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨
ESJ70 Abstract


シンポジウム S04-5  (Presentation in Symposium)

地域、自治体、民間企業における生物多様性への関与の予測-ブルーカーボンの事例-【B】
Future biodiversity involvement of communities, municipalities, and private companies as inferred from the Blue Carbon initiative【B】

*桑江朝比呂(湾空技術研)
*Tomohiro KUWAE(PARI)

生物多様性あるいは自然資本の考え方や枠組みが、地域、自治体、民間企業など社会に浸透すると何が起きるのかについて、ブルーカーボンの事例から予測してみたい。今から約14年前の2009年に、国連環境計画(UNEP)が海洋生物によって大気中のCO2が取り込まれ、海洋生態系内に貯留された炭素のことを初めて「ブルーカーボン」と名付けた。当時はこの言葉を知っている人はもちろんほぼ皆無であったが、現在では毎日のように新聞や雑誌には登場する言葉となり、テレビではクイズ番組の問題として取り上げられるまでになった。気候変動対応を推し進める原動力の一つがTCFDであり、数多くなる具体的な対策のうちの一つがブルーカーボンの活用であるとすれば、TCFDの生物多様性版といわれるTNFDに関連する社会の動きは、ブルーカーボンのそれと似た経路をたどるかもしれないとの仮説に立ってみる。基礎研究や論文数の変化、国による検討と政策化、自治体や民間企業の参画のきっかけ、環境価値の取引などによる社会実装化、といったことを、自身の経験を踏まえて紹介する。


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