| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨
ESJ70 Abstract


シンポジウム S07-2  (Presentation in Symposium)

次期生物多様性国家戦略の概要と遺伝的多様性の位置づけ
Outline of the renewed National Biodiversity Strategy and Action Plans and the position of genetic diversity

*福井俊介(環境省自然環境局)
*Shunsuke FUKUI(Ministry of the Environment)

2022年12月に開催された生物多様性条約COP15では生物多様性に関する新たな世界目標である「昆明・モントリオール生物多様性枠組」が採択された。本枠組の2050年グローバルゴールA及び2030年グローバルターゲット4においては、家畜・栽培種だけでなく野生種にも言及して、遺伝的多様性に関する目標が設定された。
本枠組を踏まえ、我が国の次の生物多様性国家戦略(次期戦略)を2023年3月末に閣議決定すべく、検討を進めている。次期戦略は、2030年のネイチャーポジティブを目指し、生物多様性・自然資本(=地球の持続可能性の土台・人間の安全保障の根幹)を守り活用するための戦略として位置づけており、生物多様性損失と気候危機の「2つの危機」への統合的対応や社会の根本的変革の必要性を強調している一方で、遺伝的多様性の維持を含む健全な生態系の確保は依然として重要な柱として位置づけられているところである。遺伝的多様性については、次期戦略内に国別目標として掲げる状態目標と行動目標のそれぞれに位置づけがなされており、今後本目標に関連した取組を推進していくことが期待される。
また、目標に向けた取組の進捗を点検・評価するために、遺伝的多様性に関する定量的な評価指標の開発が求められており、国際的な指標開発の動向や次期戦略において設定する指標についても解説する。


日本生態学会