| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨
ESJ70 Abstract


シンポジウム S09-1  (Presentation in Symposium)

光質・光量が藍藻・微細藻の光合成におよぼす影響
Effect of light quality and light intensity on photosynthesis of cyanobacteria and microalgae

*藍川晋平(国際農研), 菓子野康浩(兵庫県立大学), 秋本誠志(神戸大学), 植野嘉文(東京理科大学), 和泉自泰(九州大学), 小杉昭彦(国際農研)
*Shimpei AIKAWA(JIRCAS), Yasuhiro KASHINO(Univ. of Hyogo), Seiji AKIMOTO(Kobe Univ.), Yoshifumi UENO(Tokyo Univ. of Science), Yoshihiro IZUMI(Kyushu University), Akihiko KOSUGI(JIRCAS)

藍藻は酸素発生型光合成を行う原核生物であり、微細藻は藍藻あるいは異なる微細藻の細胞内共生を経て、葉緑体を獲得した真核生物である。藍藻や微細藻の光化学系タンパク質は高等植物のそれとほぼ同じ構造であるが、周辺アンテナ色素タンパク質複合体は極めて多様であり、それらは異なる光波長を吸収する。そして、藍藻や微細藻は高等植物のように器官分化していないため、栄養素吸収から光合成、貯蔵物蓄積までの一連の反応を単一細胞内で行う。このような藍藻・微細藻は有用な化成品原料を細胞内で生合成し、高濃度に蓄積できるため、近年ではそれらの利用技術の開発が進められている。我々は藍藻・微細藻の生態・生理の解明および利用技術の開発を目的として、光環境、特に光質・光量がそれらの増殖、光合成電子伝達系、炭素代謝に及ぼす影響について調べてきた。その結果、藍藻や微細藻類は光化学系Iと光化学系Ⅱの量比や光合成色素量を調整するだけでなく、色素タンパク質間のエネルギー移動や炭素代謝を変化させ、異なる光環境に長期的に順応していることが明らかになった。本発表では今までの研究成果のいくつかを紹介したい。


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