| 要旨トップ | ESJ70 自由集会 一覧 | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨
ESJ70 Abstract


自由集会 W04  3月19日 16:30-18:00 Room A

間接効果を通して見る世界(5):間接効果はどこまでも
Novel ecological perspectives arising from indirect effects: How indirect effects go beyond the boundary of biological organizations

大串隆之(京都大学), 佐藤拓哉(京都大学), 石川麻乃(東京大学)
Takayuki OHGUSHI(Kyoto Univ.), Takuya SATO(Kyoto Univ.), Asano ISHIKAWA(The Univ. of Tokyo)

これまでの集会では、個体、個体群、群集、生態系の各階層に焦点を当てて、それぞれに固有の生態的課題に間接効果がいかに大きな役割を果たしているのかを見てきた。今回は、このような生物的階層を超えた間接効果の意義を考える。生態学は生物と環境の相互作用の学問である。このため、生態学の研究は生物的階層にとらわれることなく始まった。20世紀を通して生態学が発展するにつれて、行動生態学、個体群生態学、群集生態学、生態系生態学などの各階層に対応した分野に細分化されるようになった。このような特定の階層に焦点を当てた研究は、他の階層の制約を考えることなく効率的であり、多くのメカニズムの解明につながった。しかし、行動生態学と生態系生態学の意思疎通ができなくなったのは負の側面である。一方、生物と環境の相互作用は特定の階層に留まらないのは自明である。このため、21世紀になって細分化された分野を統合しようとする動きが胎動してきた。生態進化ダイナミクスの考え方はその代表である。
 そこで、階層の枠に縛られずに、間接効果の意義を考えようというのが今回の試みである。もとより、多くの階層を視野に入れる研究は世界でも始まったばかりである。このため、今回は実証面だけでなく、レビューも含めて今後の方向性を明らかにすることに努めたい。生物的階層の境界を取り払った時に、どんな世界がわたしたちの前に広がるのだろう。

1. はじめに:いよいよ最終コーナーを回った
 大串隆之(京大)
2. 寄生者による行動操作の仕組みから生態系で働く間接効果の時空間変異を理解する
 佐藤拓哉(京大)
3. ゲノム編集から多機能性遺伝子が持つ間接効果を検証する
 石川麻乃(東大)
4. 進化、群集から生態系までをつなぐ間接効果:新たなる戦略的アジェンダへ向けて
門脇浩明(京大)


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