| 要旨トップ | 本企画の概要 | | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨 ESJ70 Abstract |
自由集会 W05-3 (Workshop)
大学の敷地内には、大学自体の立地や規模を問わず、一定面積の緑地が存在する。ときに演習林や農場等、大規模な緑地を有する場合もあるが、敷地境界の樹木帯や歩道分離帯、池の周辺やグラウンド脇の草地などの小規模なものにも目を向けると、緑地は全ての大学に存在していると言ってよいだろう。これら緑地は、その大小や性質を問わず、実習や研究の場、教職員、学生らの憩いの場など、様々な用途で利活用されていることは大学関係者や周辺住民は皆認識していることであろう。一方、これら大学緑地は、それ自体が様々な生物のハビタットとして機能すると同時に、近接した緑地、例えば公園におけるハビタットの質を向上させる景観マトリクス(hospitable matrix)としても機能しうる。すなわち、大学敷地内に存在する緑地は、特に都市化が進んだ地域においては、我々が考えている以上に地域の生物多様性に貢献している可能性が高い。そこで本講演では、演者らが所属する東京都立大学南大沢キャンパスにおける緑地の状況および、その教育、研究等、様々な用途で利用されていることを紹介するとともに、最近の研究成果(Ohata et al. 2022 Urban ecosystems)をもとに、本キャンパスにおける緑地がニュータウンにおける生物多様性にどのように貢献しうるかについて推定した結果を紹介する。これらを通し、大学緑地が極めて多様な機能を持つこと、大学緑地がOECMとして極めて高いポテンシャルを持つことについて議論したい。
Ohata S , Osawa T, Sato N, Tsutsumida N (2022) Large, concealed islands in the urban sea: Scattered surrounding green space enhances the quality of grassland habitats in urban parks, Tokyo.Urban Ecosystems.
https://link.springer.com/article/10.1007/s11252-022-01311-x