| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


シンポジウム S08-1  (Presentation in Symposium)

ボルネオ島低地熱帯林における着生植物群集の宿主木種およびマイクロハビタットの特性【O】
Characteristics of host species and microhabitats of epiphyte assemblages in a Bornean lowland tropical forest【O】

*駒田夏生(京都大学), 市岡孝朗(京都大学), 田金秀一郎(鹿児島大学博物館), 清水加耶(島根大学), Paulus MELENG(Forest Department Sarawak), Runi Sylvester PUNGGA(Forest Department Sarawak), Melvin Terry GUMAL(Sarawak Forestry Corporation)
*Natsuki KOMADA(Kyoto Univ.), Takao ITIOKA(Kyoto Univ.), Shuichiro TAGANE(Kagoshima Univ. Museum), Usun SHIMIZU-KAYA(Shimane Univ.), Paulus MELENG(Forest Department Sarawak), Runi Sylvester PUNGGA(Forest Department Sarawak), Melvin Terry GUMAL(Sarawak Forestry Corporation)

東南アジアの低地熱帯雨林は,維管束着生植物の高い多様性と特異な分類群構成を特徴とする.森林内の細かな空間スケールにおける着生植物の分布様式の解明は,着生植物の生態の理解にとって不可欠だが,東南アジアにおける研究例はごく僅かである.本講演では,ボルネオ島のサラワク州ランビルヒルズ国立公園の低地に位置する極相的な混交フタバガキ林において,宿主木種と樹上のマイクロハビタットに着目して着生植物の分布様式を明らかにした研究を紹介する.宿主木の種およびサイズを 459本(30科,121属,約213種)の樹木を対象に観察し,その上に見られた1843個体(23科,47属,134種)の着生植物に対して定着基質の種類および地上高を記録した.この結果,ほとんどの着生植物種は林冠上層部から突出木層に樹冠を持つ限られた樹種を宿主とすることが示された.フタバガキ属の2樹種において最も着生植物の種数・個体数が多く,次いでニクズク科,モクレン科,アカテツ科の樹種で多かった.着生植物の出現する主要な地上高は,30–40 mの林冠上層部であり,着生植物の分類群間で概ね一定した.腐植質の堆積の少ないハビタットは,多肉性の種(例:ラン科,ウラボシ科,キョウチクトウ科)によって,また腐植質の堆積が多い場所では多肉性の程度の低い草本や木本性の種(例:ショウガ科,サクラソウ科)によって特徴づけられた.ラン科,ウラボシ科,サクラソウ科に属する3種には,他種の着生植物個体上で生育するものがあり,うちラン科の1種は1種のシダ植物の株上でのみ見られた.東南アジア低地の混交フタバガキ林では,(1)成熟したフタバガキ属の種を中心とした林冠上層に達する樹種の樹冠部が,数多くの着生植物種にとって主要なハビタットであり,(2)着生植物種の定着は,他種の着生植物の分布にも影響を受けることが示された.


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