| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


シンポジウム S11-4  (Presentation in Symposium)

人間文化の研究に生態学の知見を導入する利点:社会科学者の視点から【B】【O】【S】
The benefits of introducing ecological insights into the study of human culture: a social scientist's perspective【B】【O】【S】

*中分遥(安田女子大学)
*Yo NAKAWAKE(Yasuda Women's University)

近年、人類の文化に対して、生物進化のアナロジーを用いて科学的なアプローチを用いる文化進化論が隆興しており、人文社会科学のみならず生物学を中心とした学際的な研究分野として注目を集めている。これまで、文化進化理論は、集団遺伝学や生物系統学を中心とした生物学の理論や分析手法を文化研究に応用してきた。生態学については、生物多様性の研究手法を文化に当てはめる研究が一部なされており(Kamilar & Atkinson, 2014; Morin & Sobchuk, 2021)、今後さらに発展することが予想される。また、地域によって文化が多様であることの説明として、気候・生物分布といった生態学的要因が重要であることは古くから議論されてきたテーマであり、現在その重要性が再認識されはじめている(Talhelm et al., 2014)。本発表を通じて、文化を研究する社会科学者として、生態学が築いてきた理論的枠組みや統計的手法が文化研究において、いかに有用であるのかについて議論したい。また、発表では、文化と生態に跨る具体的な研究事例を紹介し、今後の生態学者と文化研究者との協力可能性について議論したい。


日本生態学会