| 要旨トップ | ESJ71 シンポジウム 一覧 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


シンポジウム S11  3月20日 9:00-12:00 Room A

進化・生態学からみたヒトの文化【B】【O】【S】
Human culture in the lights of ecology and evolution【B】【O】【S】

柴﨑祥太(国立遺伝学研究所), 中臺亮介(横浜国立大学)
Shota SHIBASAKI(National Institute of Genetics), Ryosuke NAKADAI(Yokohama National University)

近年、ヒトの文化の理解に進化・生態学の知見や手法が利用されることが増えている。例えば、思想や信仰、民話などが気候条件や周囲の生物といった生態学的な要因に影響を受けていることが先行研究では示されている。また、個々の民話や言語を系統解析する研究も行われている。さらに、文化の多様性の定量や保存に関しても、生態学的な手法を用いて解析できる可能性がある。
 一方、ヒトの文化は生態系に影響を与える。例えば、ある地域で農業という文化が広まれば、農作物の個体群密度が局所的に上昇し、農作物への病原体が広まりやすい環境となる。また、農業と深く関連する里地里山は多様な生物の住処となっているが、人間の移動や産業構造の変化によって里地里山が失われれば、生物多様性の喪失を引き起こす。
 このように、生態学と文化の研究は現象としても手法としても密接に関わっている。本シンポジウムでは、四名の方にヒトの文化と進化・生態学に跨る研究について講演していただく。このシンポジウムを通して、ヒトの文化と進化・生態学的なダイナミクスがどのように影響し合うのかを議論し、生態学におけるヒトの文化の重要性についての議論を深めたい。
コメンテーター:田村光平 (東北大学)

[S11-1]
生物のマクロパターンを規定する人間文化の歴史 *深澤圭太(国立環境研究所)
History of human culture as a determinant of biogeographical patterns *Keita FUKASAWA(NIES)

[S11-2]
「市の花」の多様化:自治体における生物多様性認識の変遷 都築洋一(国立環境研究所), 大崎晴菜(学振PD, 東京都立大学), *川口也和子(国立遺伝学研究所), 鈴木紗也華(生態研), 原田祥吾(大阪公立大学), 大竹裕里恵(京都大学), 篠原直登(京都大学), 勝原光希(岡山大学)
Diversification of "city flowers": Temporal change in the perceptions of biodiversity in Japanese municipalities Yoichi TSUZUKI(NIES), Haruna OHSAKI(JSPS Research Fellow (PD), Tokyo Metropolitan Univ.), *Yawako W KAWAGUCHI(NIG), Sayaka S SUZUKI(CER), Shogo HARADA(Osaka Metropolitan Univ.), Yurie OTAKE(Kyoto Univ), Naoto SHINOHARA(Kyoto Univ), Koki KATSUHARA(Okayama Univ)

[S11-3]
人類進化から考える人間文化と生物の関係性 *松前ひろみ(東海大学)
Relationships between human culture and non-human species from the perspective of human evolution *Hiromi MATSUMAE(Tokai University)

[S11-4]
人間文化の研究に生態学の知見を導入する利点:社会科学者の視点から *中分遥(安田女子大学)
The benefits of introducing ecological insights into the study of human culture: a social scientist's perspective *Yo NAKAWAKE(Yasuda Women's University)


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