| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


シンポジウム S13-5  (Presentation in Symposium)

シロイヌナズナ―ヨトウ間相互作用におけるエピジェネティック転写制御機構【O】
Epigenetic transcriptional regulation in Arabidopsis-Spodoptera interactions【O】

*有村源一郎(東京理科大学)
*Gen-ichiro ARIMURA(Tokyo Univ. Sci.)

植物が植食者(害虫)に被食されると防御応答が誘導される。食害された植物では、まず害虫から分泌されるエリシターや共生菌が認識されることで、細胞内外でのシグナル伝達系が活性化され、防御遺伝子の発現や二次代謝化合物の生産が誘導される。一方、これらの防御応答において揮発性化合物(Volatile Organic Compounds [VOC])が生産され大気中に放出されることで、寄生蜂等の害虫の天敵を誘引することができる。また、これらのVOCは天敵のみならず、周囲の未被害植物に立ち聞きされると、害虫が侵入する前に防御応答が高められる。VOCに曝された植物では、ヒストンアセチル化制御等を介して防御遺伝子の発現が誘導されることが見出されているが、その詳細な分子機構については明らかにされていない。本研究では、当該機構の理解を深めるために、揮発性モノテルペノイドであるβ-オシメンを受容したシロイヌナズナにおける転写制御機構を解析した。β-オシメン受容葉では、防御応答関連転写因子であるERF等の遺伝子発現および当該遺伝子領域のアセチル化が亢進されていた。ERFはヒストンアセチル基転移酵素であるHAC1、HAC5、HAM1によってアセチル化制御され、ヒストン脱アセチル化酵素であるHDA6によってβ-オシメン受容後にフィードバック制御されることが見出された。また、当該機構はハスモンヨトウに食害された植物における防御応答制御も担い、そこではHDA6が足場タンパク質であるTOPLESS (TPL) およびTOPLESS-related (TPR)と相互作用することで、食害後2時間という食害応答初期および防御応答のプライミングに関わることも示された。本会では、これらのハスモンヨトウに食害されたシロイヌナズナモデルにおけるエピジェネティック転写制御機構について議論したい。


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